ブレーキフルード

 
ブレーキフルードが劣化すると最悪、ペーパーロック現象が発生
 

制動装置には主に油圧式ブレーキが使用されています。
油圧式ブレーキはブレーキペダルを踏むと,その圧力をブレーキブースターで拡大し,ブレーキパイピングを通して各ホイールシリングやディスクブレーキキャリパヘ伝えます。
この圧力を伝達する役割を果たしているのがブレーキフルードです。

 
 劣化のメカニズム


ブレーキフルードは主成分の水溶性グリコール・エーテルの他,ゴム調整剤,吸湿沸点降下防止剤,潤滑剤,防錆剤,酸化防止剤など様々な添加剤が配合されていますが,これらは使用とともに劣化し性能が低下します。
特に,ブレーキフルードにはブレーキ作動に伴う摩擦熱による体積膨張と,リザーバータンクのキャップ穴を通じての吸湿作用等により空気中の水分がフルード中に溶け込む特性があります。
このためブレーキフルードの沸点は水分の混入量に応じて降下します。
こうした製品特性と性能低下時期を考慮して交換基準が定められています。
  

 メンテナンスを怠ると・・・・

フルード不足や漏れ状態で走行するとブレーキ配管内に空気が混入しやすくなります。
空気が混入すると必要な液庄が伝達されず制動力が低下するとともに水分も混入します。

この状態でさらに使用を続けると水分混入による沸点降下によりフルードが沸騰しやすくなり,最悪の場合,沸騰して配管内に気泡が生まれ液庄が伝わらず、ブレーキが効かなくなる『ペーパーロック現象』を引起こす危険性があります。
また長期間交換を行わなかった場合も性能低下等により,ペーパーロックが発生しやすくなります。

最近流行の安売り車検等では、そういった危険事項の説明をせず、ブレーキフルードの交換をしない所が多いので、十分な注意が必要です。

 日常のメンテナンス情報


日常点検としては,フルード量が不足するとブレーキ警告灯が点灯するので,走行前に計器盤をチェックすること。
また時々はリザーバータンクのフルード量も点検することをおすすめします。
タンクにはMAXとMINI(UPERとLOWER)が表示されているのでこれを目安にしてください。

フルード不足を発見した場合,早急に整備工場等に点検を依頼し適切な処置を行ってください。

 なお,フルードを交換する際は熱の影響を最も受けるホイールシリンダ内のフルードまで交換しなれけば意味がないので全量交換が原則となります。
補充する場合も異なるタイプを混入すると添加剤が異なるため弊害が起こることがあります。使用中と同じフルードを補充してください。


 点検と交換


く定期点検基準〉

◆日常点検(自家用乗用車)

リザーバータンクのブレーキ液量が適当であること。

く定期交換基準〉

一般的な交換基準は初回3年,以降2年毎(メーカーにより交換基準に差があるので,メンテナンスノートを参照)


 

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