メンテナンス不良は極板のサルフェーション現象を
起こし劣化を早める

 


バッテリーの内部は,6つの槽(セル)に仕切られ,それぞれに,電解液(希硫酸),陽・陰極板が収められています。
両極板と電解液との間に起こる化学変化を利用して充電と放電を繰り返します。

 バッテリー補充液は蒸留水(精製水)です。
電解液の硫酸成分はほとんど蒸発しないため,水分のみを補充します。

 
 
 劣化のメカニズム


電解液の減少現象は,充電中の化学反応により起こります。
水が電気分解すると,水素と酸素のガスとなって蒸発し、また自然蒸発でも減少していきます。

 バッテリーは,充放電の繰り返しにより,極板の劣化(化学反応を起こさない物質への変化)が進むため,十分に充電を行なっても初期の容量には戻りません。
永久的に使用できるバッテリーはなく,充電池として利用する限り消耗していき,いずれは交換が必要となります。

 電解液の濃度(比重1.26)や起電力が基準値内にあっても,極板があとどの程度の期間,使用に耐えられるかを判定することは難しい。
一般的には,始動時スターターの回りが悪かったり,アイドリング時のヘッドライト照度が低かったりする不具合でバッテリーの寿命を判断しています。

 ターミナル部の締め付けが,使用期間とともに緩んでいくことはありません。
ユーザー自身の交換作業時に,締め付け不十分となる場合が考えられます。

 メンテナンスを怠ると・・・・

バッテリー液が不足し(LOWERレベル以下),極板が電解液より露出した状態で使用を続けると,液に浸っていない極板は化学反応しないため著電能力が低下(バッテリー容量低下)し,始動不能などバッテリー上がりの状態に陥ります。
さらに,極板自体も,細孔に硫酸鉛の結晶が付着し化学反応できなくなってしまい(サルフエーション現象),バッテリーの寿命を極端に縮めてしまいます。

 逆に,バッテリー液の入れ過ぎによる液量過多(upperレベル以上)は,旋回時や制動時,または発進時などの車の揺れにより,電解液(希硫酸)が液口栓からこぼれ,付着部分の車体を腐食(溶解)させてしまいます。
電解液の適量供給がバッテリーメンテナンスの肝要となります。

 ターミナル部の緩みや腐食は,接触不良(接触抵抗増)につながり,各電気系統への供給が断たれ灯火点灯・始動不良などが起こります。
また,充電電流も不十分となり,バッテリー上がりになりやすくなります。

 

 日常のメンテナンス情報


バッテリー自体に寿命がくると,充電してもバッテリー液の比重が上がらない,各セル間の比重・量の差が大きい,蒸発が激しい,始動時の電圧低下がひどい(10V以下)などの症状が現れます。

 とくに,寿命が近づくと蒸留水を補給してもすぐ減ってしまうため,日頃から液量を確認しておくことが寿命判定の際,重要となります。
一般的な寿命は,2〜4年程度と言われますが,使用状況により劣化は大幅に変化し,充放電の激しい使われ方(使用竜気負荷大)や,バッテリー温度が高い使われ方(渋滞走行が長い)は,その度合いも大きく,寿命も短くなります。


 点検と交換


定期点検基準〉

◆日常点検(自家用乗用車)   液量が適当であること

◆1年点検(自家用乗用車)    ターミナル部の接続状態

◆2年点検(自家用乗用車)    ターミナル部の接続状態


 

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