パワステアリングベルト

 
ベルトが劣化するとハンドルが重くなり大変危険,定期的な点検を

 

 

かじ取り装置の補助機構として動力装置を設け軽いハンドル操作でクルマを旋回できるようにしたのがパワーステアリング装置(以下パワステ)です。
パワステは油圧を発生させるオイルポンプと油圧を受けて操舵力をタイヤに伝えるギア,それらをつなぐ配管で構成されています。
そしてパワステを作動させるためにエンジンの回転をオイルポンプに伝える役割を果たしているのがパワーステアリングベルト(以下ベルト)です。

 
 
 劣化のメカニズム


ベルトは動力を正確に伝達するため適正な張力で張られている。しかしベルトはゴム製品なので,走行距離が増えるにしたがって伸びたり摩耗したりして緩んでくる。

 伸びは新品時に大きく,その後は非常に小さくなるが,張力は使用とともに弱まっていきます。またゴムのため経時的に熱劣化します。
劣化が進むと最終的にひび割れや剥離等が起こり切損する事もあります。
 

 メンテナンスを怠ると・・・・

ベルトが緩むと動力が正確に伝わらず,そのまま使い続けると緩みが大きくなってオイルポンプが空回りし油圧が低下してハンドル操作が重くなります。

またベルト自体の摩耗も進み早期切損の危険性が出てきます。
ベルトが切れると動力がストップし非常にハンドルが重くなります。
コーナリング時や高速走行中に突然ハンドルが重くなることもあり、非常に危険です。

 日常のメンテナンス情報


ベルトが緩むとベルト鳴きと呼ばれるキュルキュルとかキーという異音が発生します。
発進時 や加速時などは特に大きく鳴ることが多い。
こうした異音に気付いた時は即整備工場等に入庫してベルトをチェックしてもらいましょう。

また,パワステで忘れてならないのがパワステオイルのメンテナンスです。
パワステオイルは庄力を伝達する作動油としての役割を担っており,このような作動油では量の確保と漏れの点検が重要となります。
もしオイルが減少している時は単に補充するのでなく,原因を調べて適切な処置を行うことが必要です。
また各種添加剤を加えた専用オイルなので交換・補充する際は指定オイルを使用する。

 

 点検と交換


く定期点検基準〉

◆1年点検(自家用乗用車)

 ベルトの緩み及び損傷

◆2年点検(自家用乗用車)

 ベルトの緩み及び損傷、オイル漏れ及びオイル量,※取り付けの緩み

※は走行距離項目/検査日または前回点検から年間走行距離が5000km以下の場合1回につき省略可。

<交換の目安〉

ベルトは一般的に25000〜30000kmで交換されることが多いが,特に何万kmで交換という規定はありません。
シビアコンディションの場合は当然早めの交換が必要となります。
整備工場等で定期的に点検チェックし適宜交換する。


 

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